相続税の取得費加算の特例とは?計算例もご紹介します!
「相続税の取得費加算の特例とはどのようなものなのかを知りたい」
このようにお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、相続税の取得費加算の特例について解説します。
具体的な計算例についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
相続税の取得費加算の特例と要件
ここからは、相続税の取得費加算の特例についてご紹介します。
この特例は、譲渡所得税を計算するときに関係してきます。
譲渡所得税の所得金額は、収入金額から取得費と譲渡費用を差し引いて求めますが、この特例を使用すると、相続税の一部を取得費に加算できます。
つまり、所得金額を軽減できるので、所得税も軽減できるのです。
主な要件は以下の3つです。
・相続や遺贈などによって財産を取得した個人であること
・その財産を取得した人が相続税を納めていること
・相続した財産を相続がスタートした日から3年10か月以内に譲渡していること
相続人でなくても適用できますが、法人には適用できないほか、併せて適用できない特例もあるので、しっかりと確認しましょう。
具体的な計算例
ここからは、具体的な計算例についてご紹介します。
相続税をすべて取得費に加算できるわけではありません。
次の式で求められる金額だけを取得費に加算できます。
相続税額と相続税課税価格の計算の基礎とされたその譲渡した財産の課税価格を掛けたものを、相続税の課税価格と債務控除額を足したもので割ると求められます。
具体的な例を考えてみましょう。
父が亡くなって、6000万円の不動産と6500万円の預金を相続して受け取り、2500万円の相続税を納めたとします。
また、このとき債務控除額はなしとします。
このケースで取得費に加算できるのは、前述した式に当てはめると、「2500万円×(6000万円÷1億2500万円)=1200万円」となります。
この不動産の購入価格が4000万円、売却価格が7000万円、手数料が210万円のケースを考えましょう。
譲渡益は「7000万円-4000万円-1200万円-210万円=1590万円」です。
この1590万円に対して20.315パーセントの税金が課されるため、323万85円を納める必要があります。
一方で、この特例を適用しなかった場合の譲渡益は「7000万円-4000万円-210万円=2790万円」です。
このとき、税金は566万7885円と計算できます。
特例を適用することで、243万7800円も所得税を軽減できましたね。
このように、上手に利用することで所得税をかなり軽減できるのです。
まとめ
この記事では、相続税の取得費加算の特例について詳しく解説しました。
自分が適用要件に当てはまっているのかを、しっかりと確認しましょう。
この特例について気になっている方は、本記事を参考にしていただけると幸いです。